自動車保険で解決しない場合は?

自動車保険は自分に過失があるときの強い味方です。

 

しかし相手が任意保険に加入しておらず、示談に応じな
いで補償金を支払ってくれないということもあるのです。

 

このような場合、少額訴訟を利用するという解決方法があります。

 

とはいえ、少額訴訟は一回で終わらせるものなの
で、証拠などがしっかり揃っていて勝訴の可能性
が高い場合にのみ利用したほうが良いでしょう。

 

この少額訴訟とは、平成10年1月の民事訴訟法改正に伴い国民
が利用しやすい司法制度の実現に向けて導入されたものです。

 

その内容は、簡易裁判所における民事訴訟のうち「60万
円以下の金銭の支払い請求」を目的とする訴訟で、原則
として1回の審査で判決がなされるという制度です。

 

なお、この制度は1人が1年に利用できる回数に制限があ
り、同一の簡易裁判所につき10回までとされています。

 

そしてこの少額訴訟制度の大きなメリットは2つあります。

 

まずは何といっても、通常の裁判を起こす
よりもかなり安価であるということです。

 

この少額訴訟制度を使えば原則として第一回の口頭弁論期
日に即日結審し判決の言い渡しを行いますので、相手が同
意した場合に限りますが一回で解決することになります。

 

もし判決に対して不服がある場合、判決を
した裁判所への異議申し立ても可能です。

 

また通常の判決と違い、被告の資力その他の事情を
考慮し、特に必要がある場合には支払いの猶予、分
割払いまたは遅延損害金免除の判決もあります。

 

ただし支払いの猶予、分割払いの期間
は3年を超えない範囲内となります。

 

このように短期間、かつ安価で解決できる可能性がある少額
訴訟制度の利用も一つの方法ですが、デメリットは相手から
通常訴訟を提訴されて解決に至らない可能性があったり、異
議申し立てはできますが控訴はできない点などがあります。

 

そこで自動車保険ですが、本来多くの保険会
社の補償に弁護士費用特約はあるものです。

 

ご自身の自動車保険に弁護士費用特約を付帯している
場合は300万円までであれば弁護士費用が保険で賄え
ますので、相談程度でしたら十分可能だと思われます。

 

基本的には自動車保険会社の紹介の弁護士になると思
いますが、ご自身で手配することも実はできるのです。

 

ここで注意しなければならないのが、この弁
護士特約を使うにあたっては保険会社の承諾
も必要と約款に記載されていることです。

 

要するに、勝手には使えませんので事前
に保険会社との相談が必須となります。

 

このようにして、一向に解決しない事案については時間ばかり経
過してしまいますので、積極的に解決させたい場合(賠償しても
らう側)はこのような方法を試していく必要があるでしょう。

 

ただし、相手があることですので、それぞれの案件に合った解決
方法を保険会社と相談して見つけていくことが望ましいですね。

示談交渉においての交通事故紛争処理機関の利用

自動車事故に遭い被害者が正当な賠償額を提示してい
ても、示談交渉がなかなか進まないケースがあります。

 

しかし、被害者に後遺症が残った場合や入院が長期にわたる
場合には、早く示談交渉を成立させて安心したいものです。

 

また、自動車事故の損害賠償請求権の消
滅時効の期間は3年間とされています。

 

したがって、示談交渉が長引いて事故発生から3年を経過する
時期が近くなると、いやでも交渉を急がなくてはなりません。

 

そのような場合には、交通事故紛争処
理機関に相談してみると良いでしょう。

 

交通事故紛争処理機関は2つあります。

 

1つは(財)交通事故紛争処理センターです。

 

もう1つは(財)日弁連交通事故相談センターです。

 

どちらのセンターも、弁護士による無料相談を受けることができます。

 

(財)交通事故紛争処理センターでは、弁護士による無料法
律相談、和解斡旋、紛争解決のための審査を実施しています。

 

なお、センターの裁定には、一定の要件のもと保
険会社も従わなくてはならない義務が生じます。

 

一方の(財)日弁連交通事故相談センターでは、被害
者が電話で相談の予約を入れ、予約した日時に被害者
がセンターを訪問して弁護士の相談を受けます。

 

また、5分程度の弁護士による無料電話相談も行っています。

 

なお、センターに相談する際には限られた時間内に事故状況を正
確に相談相手の弁護士に伝えなければなりませんから、事前に十
分な資料を用意して説明内容を整理しておくと良いでしょう。

 

そして、示談交渉がまとまらない場合には、最終的には裁
判所に調停を申し込むか訴訟を提起することになります。

 

その前に、センターに対して裁判所での調停手続き
の方法や訴訟の起こし方、和解や訴訟を起こした場
合の見通しについて相談しておくと良いでしょう。

 

また、事故発生から3年を経過するときが近くなって
くると、消滅時効の完成を防ぐために内容証明郵便な
どで加害者に賠償金の請求をしなくてはなりません。

 

しかし、この請求をした後6ヶ月以内に訴訟などの裁判上
の請求を行わないと、消滅時効が完成してしまいます。

 

消滅時効の完成を防ぐためには、多少
複雑な手続きをしなくてはなりません。

 

このような場合にも、センターに相談
すれば適切な方法を教えてもらえます。

 

いずれにしても、相談は無料ですから気軽に利用することができます。

 

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