駐車中に追突された事故の過失割合はゼロ?

追突事故の過失割合は10対0と思い込んでいませんか?

 

信号待ちで停止している車に追突された場合
は、追突した車に100%の過失があります。

 

しかし、完全に停止しているときに追突されても、相手
に100%の過失がないとされるケースが実はあるのです。

 

この実情を知っておかないと、もし駐車中に車
に追突された時に損をする可能性があります。

駐車している車にも過失が発生する理由

自動車損害賠償保障法(以下自賠責法)は、その3
条で自動車損害賠償責任について規定しています。

 

そこには、「車を運転する者は、他人の生命または体に被害を与
えた時はその損害を賠償する責任がある」と定められています。

 

そして賠償責任を問われないためには、「車の運転に十分
な注意を払ったこと、被害者または第三者の故意・過失が
あったこと、あるいは自動車に構造上の欠陥または機能の
障害がなかったことが証明できたとき」と定めています。

 

つまり、「追突されたからと言って無条件
に過失ゼロにはならない」ということです。

 

駐停車は一般的な常識では停車しているので、法
律の言う「運行」はしていないと考えられます。

 

しかし道路上での駐停車は、一般的には一時的でその後に運行
する予定があることや、駐停車後に運行をいつ再開する予定で
あったかによって、法律は駐停車も運行と判断しています。

追突事故で100%追突した車に責任があるケース

運行か運行でないかは抽象的な議論ですが、追突した車に100%の
過失があるとされるのは、停止している場所が適法な場所、または
適法でない場所でも停止がやむを得ない状況であった時のみです。

 

一方、駐停車した車に過失が認められる
ケースは駐停車禁止場所での駐車です。

 

駐停車禁止でない場所でも道路状況や駐車している
車両がどのような状態で駐車していたかなどによっ
て、裁判では駐車している車に過失を認めています。

 

追突した車の過失が大きいことの方が多いのは当然ですが、実際の
裁判では駐車していた車の過失が50%を超えるケースもあります。

 

例えば、
・車の交通量の多い場所、カーブの先などの見通しの悪い場所
・駐停車している場所が暗かった
・豪雨や霧などで視界が悪かった
・車の大きさに対して道路の幅が狭い場所
・違法駐車の車を避けようとして人身事故を起こした、
あるいは避けたために別の車両と事故を起こした
・道路の左側を必要以上に多いスペースを取っ
て駐停車(道路の右側により過ぎて駐停車)
・ハザードランプを点灯しなかった

 

以上のような状況が考慮され、駐車している
車にも過失が発生する可能性があるのです。

違法駐停車になる場所と駐停車方法とは

免許取得時に覚えた駐停車禁止場所や駐車禁止場所、及び
正しい駐停車の方法をすべて覚えていらっしゃいますか?

 

停車とは人の乗り降りのため、5分以内で終わる荷物の積み下
ろしのため、及び運転できる状態での短時間の停止のことです。

 

それ以外は駐車となります。

 

駐停車禁止場所と正しい駐停車の方法は以下の通りです。

 

「駐停車禁止場所」
・トンネル内
・坂の頂上付近や勾配の急な坂(上りも下りも禁止)
・交差点内とその5メートル以内
・横断歩道内とその5m以内
・踏切・線路(路面電車)内、及びその10メートル以内
・安全地帯の左側、及びその10メートル以内
・バスの運行時間中、停留所の表示板から10メートル以内
・道路の曲がり角とその5メートル以内
・駐停車禁止標識や道路に表示のある場所

 

「駐車禁止の場所(停車は可能な場所)」
・火災報知機から1メートル以内
・車庫・駐車場などの出入り口から3メートル以内
・道路工事の区間とその5メートル以内
・消防用の機械・器具置き場、消火栓、防火水槽その他から5メートル以内
・駐車禁止の標識・表示がある場所

 

「正しい駐停車方法」
・歩道や路側帯を示す白線が引かれていない道路:道路の左側に駐停車します。

 

・歩道がある道路:車道の左端に駐停車しま
す。歩道に乗り入れた駐停車はできません。

 

・道路に路側帯を示す白の実線が1本引かれている道路。

 

・路側帯の幅が0.75メートル以内の道路:路側帯を示す実線が引
かれている道路で、路側帯の幅が0.75メートル以下の場合、車道
左端に駐停車します。(路側帯に乗り入れた駐停車はできません)

 

・路側帯の幅が0.75メートル以上の道路:路側帯を示す実線が
引かれている道路で、路側帯の幅が0.75メートル以上ある場合、
路側帯の白い実線の左端から0.75メートル以上空けて駐停車し
ます。車の一部分が路側帯の内側に乗り入れて駐停車できます。

 

・道路に路側帯を示す白い線が2本引かれている道路:路側帯を示す白の実
線が2本引かれている場合、その路側帯は歩行者用路側帯です。また、路側
帯を示す白い線が破線と実線の2つの線の場合、その路側帯は駐停車禁止路
側帯です。そのため、いずれの場合も路側帯の広さに関係なく車の一部を乗
り入れた駐停車はできません。路側帯を示す線の左端に駐停車します。

 

・正しい駐停車方法:道路上に駐車する場合、同じ場所に連続して昼間は12時
間、夜間は8時間以上駐車できません。なお、道路上に夜間に駐停車する場合
は、停車の場合もハザードランプ、駐車灯または尾灯を点けなければなりま
せん。ただし、道路が明るく50メートル後方から見える場所での駐停車、ま
たは停止表示板を置いて駐停車しているときは、その必要はありません。

 

とは言え例外もあるのです。

 

駐停車禁止や正しくない駐停車方法でも、警察官の命令や警察署長の
許可、危険防止のためなら違法な駐停車にならない場合があります。

駐停車による追突事故で過失を防ぐには

都市部で車を運転している限り駐車禁止場
所は多く、また駐停車禁止場所もあります。

 

そのため、違法な場所で駐停車することは、誰もが長時間にわたっ
て車を離れない限りは誰もが違法性を認識しないで行っています。

 

しかし、その短い瞬間に追突事故が起きれば駐停
車した車にも責任を問われる可能性があります。

 

特に狭い道路や交通の激しい道路、見通しの悪い場所での駐
停車は極力避けるようにすることでリスクを軽減できます。

 

駐停車車両への追突は過失認定が難しく、
事故の当事者間で考え方に相違が出ます。

 

そのため、裁判による決着になる可能性が高くなります。

 

自動車保険で弁護士費用特約を付けておくと、その場合でも安心できます。

 

車両保険に加入していない場合は特に必要となるでしょう。

 

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