センターラインはみだし車との正面衝突事故
自動車同士の事故では、相手さえちょっと注意してくれたら10
0%事故が起きなかったのにと思える事故がたくさんあります。
しかし、そのような場合でも自分側に10%、場合によっては30%も
過失が生じるなど、100対0が認められる事故はほとんどありません。
その中で、原則100対0が認められる事故が3つあります。
追突、赤信号無視、センターラインオーバーです。
このうちの一つ、センターラインオーバーで衝突された方
の車に4,000万円の賠償命令が出た事故をご紹介します。
「交通事故の判例」
この事故は、居眠り運転して対向車線にはみ出し衝突、居眠
り運転の車の助手席に乗っていた同乗者が死亡した事故です。
その死亡した同乗者の遺族が、対向車線を走行していてもらい事故
のドライバーに過失があるとして損害賠償を求め認められました。
なぜ遺族が提訴したかというと、推測ですが、事故を起こしたドライ
バーが加入していた任意保険では同乗者への補償がありませんでした。
そこで、補償を受けるため相手側のド
ライバーに請求をしたと考えられます。
自賠責保険は相手側への補償しか行えませんが、
同乗者が他人であれば同乗者には支払われます。
しかし、支払われる金額は3,000万円が限度である
ため、遺族にとっては満足できなかったのでしょう。
ただ、遺族の方を批判するわけではありませんが、事
故を起こした車は居眠り運転であったということです。
同乗者の立場とはいえ、道義的には居眠り運転を
回避する努力をする必要があったと考えられます。
立証はできないでしょうが、無理に運転させて自
分は寝ていた可能性も考えられなくはありません。
ではなぜ、原則過失ゼロで居眠り運転という
事故なのに補償が命ぜられたのでしょうか。
それは、法律(自動車損害賠償保障法)が加害者(実際はもら
い事故の被害者)は以下の3点を立証しない限り他人の生命、
身体を害した責任を逃れられないと定められているからです。
@自動車の運転に、運行に注意を怠らず安全に運転していたこと
相手の車が直前にセンターラインをオーバーしな
い限り、そしてそれがドライブレコーダーや第三
者の証言で立証できない限り不可能でしょう。
最善は、センターラインを超えそうと予測できたら車を停車させることです。
停車中にぶつけられれば過失ゼロになります。
A相手側に故意や過失があったこと
居眠り運転するほど運転を強行させた責任があるな
どですが、相手側のことですから立証は不可能です。
B自動車に欠陥や機能の障害がなかったこと
自分の車ですからお金をかければメーカーなどで証明できます。
そもそも、法律が100対0の事故で加害者(実質の
被害者)に過失ゼロを立証させることが酷です。
このような場合は、被害者側に加害者の過失の有無を立
証させないと一般常識とはかけ離れることになります。
しかし、法律が上記のように定められていることから、加害者が3
点を十分に立証できなければ、常識からは信じられませんがこの結
果になるのはやむを得ないとあきらめるより仕方がありません。
なお、この判例は一審のため加害者が控訴す
れば責任なし、または賠償額の大幅減額の可
能性が二審で下される可能性があります。
このような理不尽とも思われる事故に対処するには
100対0の事故の場合、自分の過失割合がゼロであれば、加入し
ている保険会社は示談交渉をしてくれないことはご存知ですか?
どんなに安全運転をしていても交通事故は避けられません。
そして、今回のような過失ゼロのもらい事故でも訴
えられる可能性があることを考えると、弁護士費用
特約を付けておくことは安心のために必要です。
裁判は弁護士の力を借りなければ不可能でしょう。
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